先生知ってる?
私、もう13歳のお子様じゃないの。
今月で16歳になるから、もう結婚できる年なんだよ。
初めて会ったのは、13歳の中1のとき。
成績がものすごく悪くて、娘の将来を悲観したママが家庭教師を雇った。
家庭教師が来たって、もとが悪いんだから成績なんてあがるわけないって思ってたんだけど、
派遣されたカテキョーはものすごく私好みの人だった。
当時19歳の大学生。
今年で22歳になる先生は、大学を卒業して会社員になってしまう。
あと1週間で私は先生に会えなくなるんだよね。
「おい!女子高生。頭の中に花咲かせてないで課題やれよ」
参考書の角で私の頭をコツンとこづく先生は、相変わらず私を子ども扱いする。
「虐待~」
「はいはい。何でもいいよ。お前の成績が下がるくらいなら、虐待といわれようとこづいてやるさ」
そういうと、また再度私の頭をコツンとこづいた(もちろん痛くない程度)
「もういいじゃ~ん。このままの成績だったら留年することもないし、大学だって国公立行けるって言われてるんですけど~。これでも学年順位は10位以内ですからぁ」
ふてくされながらイスに座ってくるくる回る私に、先生は自分の片足でそれを止める。
「よかったな。あの最下位中1女が、ここまで成長するとは俺の教え方のおかげだ」
なんていいながら、課題をトントン叩いて早くやれと促す。
はいはい…と言いながら、私は課題に取り組んだ。
私は先生のおかげで勉強するようになった。
ママや学校の先生に褒められるよりも、カテキョーさんに褒められるほうがよっぽど嬉しかったから。
だから、ものすごく頑張って、毎回「よくやった」とう言葉が欲しくて頑張ったんだよね。
難関だと言われていた高校にも合格し、本当ならすでにカテキョーなんていらなくなっていたんだけど、先生にはやめて欲しくなかった。
……のに、
「ね~、会社員になるからって、カテキョーやめなくてもいいじゃん」
「アホか。リーマンで副業カテキョーなんておかしだろう。俺はあと1週間で辞めるの。お前を立派に育てることができたのがせめてもの救いだ」
とケラケラ笑った。
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